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3月のひとこと

●おせっかいが人の人生を救う

 朝日新聞2月4日朝刊読者の声の欄で、児童虐待防止のポスター「おせっかいは子どもを救う」を思い出し、勇気を出して子どもに怒鳴っているお母さんにやさしく声をかけてみた・・・という話が掲載されていました。
投稿者が私と同年代の主婦の方ということもあり、とても勇気づけられました。私はこのポスターを見たことがありませんが、「おせっかいは子どもを救う」は短い文ながらもとても説得力があると思いました。
 虐待のニュースを見る度に心が痛みます。1番怖いのは、虐待を虐待とは思わずに行っている人です。でも大半の人は、我が子を虐待してしまうことや虐待とまではいかずとも激しく叱ってしまう自分を悔いたり責めたりしています。
 公の場で子どもを激しくののしったり叱ったりしている親御さんのヒステリックな形相を見ると思わず目を背けたくなりますが、その怖い顔の裏には「誰か私を止めて」「子どもを助けて」という願いが隠されています。でも私も含め、周囲にいる人たちは嫌な顔をしてちらちらその親子を見ているだけ。
 その時、この子はこの現状をどう受け止めると思いますか?私はこう思います。「ママ怖いよ。そんなに怒らないでよ。でも、周りの人たちもみんな嫌な顔をしてボクを見ている。誰も何も言わない。そっか。やっぱりボクが悪いんだ。ボクはすごく悪い子なんだ。だから誰も助けてくれないんだ。ママがしていることはとても正しいことなんだ」
 こういうことを何度か経験した子は誰にも助けを求めません。そして自己否定感だけを強めて成長していきます。私たちが見て見ぬ振りをしたからです。だから、おせっかいが必要なんです。おせっかいはすごく勇気が要ります。勇気がいるし怖いけど、私は声掛けをするようにしています。お母さんの為というよりは、その子が「ボクは悪くないんだ。困ったときは助けてくれる人もいるんだ」と思って欲しいからです。この経験がその子の未来にどれだけ大きな影響を与えるか。他人が見ても怖い、声をかけにくい光景を、ただただひとりで堪えるしかない小さな子の気持ちを考えると、おせっかいでも、まちがっていても、私が怒られてもいいから・・・って思います。
 すごく怖いけど、私は子どもをヒステリックに怒っているお母さんに何度か声をかけたことがあります。いや、お子さんにかな。怖くてお母さんの目を見れなくて。なんて言ったらいいんだろう?なんて考えていたらタイミングを逃してしまい、結局は周りの大人同様、私も見て見ぬ振り状態になってしまうので、とにかくなんでもいいから言うようにしています。それから次の言葉は考えればいいやと。すると、大抵の親御さんはハッと我に返り、冷静になれるんです。そこから「大丈夫ですか?」「大変ですよね」などと無難な言葉を伝えます。その間、子どもにはにっこり笑顔を向けます。心臓ばっくばくです。この後ダッシュで走り去ったこともあります(笑)でも、私も育児は大変だったから。助けて欲しいと思いながら誰にも甘えられず、子どもを叱ってはそんな自分を激しく責めて泣く毎日だったから。
 お母さんは悪くない。お母さんはすごく頑張っている。この子はすごく良い子。ママが大好きなのねって。応援したいです。ほんと、おせっかいでごめんなさい。でも応援したいです。
 本当はこういうことって先輩ママであるご年配の方にしていただきたいなって思います。そういう光景を見たことがあります。電車の中で、子どもに何度も厳しい口調で小言を言い続けるお母さんがいたんです。子どもはずっと下を向いています。その姿が気にくわないのか、お母さんは「ちゃんと聞いているの?」とまた怒ります。すると、反対側の席に座っていたおばあさんが笑顔で「はい!これ召し上がって!」といきなりお母さんとその子にアメを渡したんです。「このアメすごく美味しいから」って。お母さんはハッとし、おばあさんと周囲の人たちに「すみません・・・」と言いました。子どもが「これ食べてもいいの?」と聞き、お母さんはダメと言えず「うん」と。子どもが喜んでアメを食べて「美味しい!」と笑顔に。するとお母さんも笑顔に。とても自然な光景でした。敵わないな~って思いました(笑)私もそんなおばあさんになりたいです。

2014年3月2日
摂食障害専門カウンセリング あや相談室主宰
摂食障害カウンセラー 長谷川あや

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