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復学(1)
2003/09/18
短大を1年休学した。 止まらぬ反動の過食のせいで太ってしまった体で 学校に通うことがどうしてもどうしてもできなくなって しまったからだ。
休学届けを出したのを機に「学校に行かなくてはならない! 」というストレスから解放された。 でも同時に生活リズムの中心になるものを私は失った。 これといってしたいこともない。当然と言えば当然の ことだが、翌朝から私は何時に起きようが 寝ようが食べようがどうでもいい生活を送ることとなった。
「摂食障害は生活習慣病であると言っても過言ではない」 とは私がよく使う言葉の1つだ。 無意識だろうが意識的にだろうが、生活のリズムが乱れれば 必ず心と体の関係もおかしくなるんだ。 不安定になるから過食するのか。過食するから不安定に なるのか。私の場合はどっちもだった。
ストレスを感じ過ぎる生活は辛い。でもストレスを感じ 過ぎない生活も私には辛い。何事も適度さが大切なんだ。 でも適度さって何? 私はいつから△を見失ってしまったんだろう? ○か×かの性質ではあるけれどそれなりの△もあっただろうに。
こんな風になるんだったら休学なんてしなければ良かった!! と思うこともあった。でもこれこそがタラレバじゃ。 今思い出してもあの状態ではどうしたって続けられなかったと 思うもんなー。
休学した後の1年は激動の1年でもあった。 何人もの名医(って一体なんだよ?)と言われる医者に 会いに行った。でも治らない。 何をどうすればいいのか本当にわからなくてとうとう親子で 胡散臭い宗教にもはまりかけた。(このお話はまた別の機会に) そして我が家は家庭崩壊寸の状態へ。 「もうこの家にはいられない!」私は家を飛び出し、 断食や住み込みのバイトをし、最後は一人暮らしもした。 でも寂しさに耐えきれなくなり万引き。 とうとうお巡りさんのお世話にまでなってしまった。
でもよくもまぁ、たったの1年間でこんなにいろんなことが できたと思う。 今の私じゃ頼まれても絶対にできんっ!(^-^;)。 本当にあのころのあんたは偉いよ!!
でも当時の私は全然そうは思わなかった。いろいろやって きた自分を全然褒めてなんてあげる気にはなれなかった。 悪いことだけに目がいった。 「こんなにいろいろやったのに何一つ変わらない。 何をやってもうまくいかない。私は本当に駄目人間なんだ」 (-0-)ha〜〜
復学届の締め切り日が迫っていた。 悩んだなんてもんじゃなかった。勉強に依存し、気がついたら 激痩せしていた高校時代。生まれて初めて死ぬほど勉強して (死ぬほど痩せて)入りたく入った短大だった。 授業もとてもおもしろかった。 やっぱり復学したい!! でも・・・でも・・・
復学した後のことが怖くて、そんな風に思える現実に 足を踏み込む自信がなくて、私は大いに悩んだ。 この1年間何1つ勉強してこなかったもん。ちゃんと授業に ついていけるだろうか。 1つ年下のみんなはもうグループができてしまっているだろう。 1つ年上の私となんて友達になってくれないだろう。 「なんで休学していたの?」って聞かれたらどうしよう。 先生たちは?「自律神経失調症」という病名で休学した私をどう思うだろう。 もしまた過食で学校にいけなくなってしまったら?
実際に行ってみなければわからないことに不安と焦りを 募らせた。でもこれを解消するためには学校に行ってみるしか ない。 摂食障害に悩む人たちは起こってしまったことに対する 「ストレス」だけじゃなく、こうした「フラストレーション」 にもかなり弱いと思う。 やってみなければわからないのに、それができない。 やってみたらいいのに!とわかっていても嫌なことしか 想像できず、それを確かめるのが怖くて仕方がない。 したいのにできない。でもだからこそどうしても先に進めない。 できない自分を責める気持ちと、エンドレスなジレンマが 過食を誘う。
「行くだけ行ってみて、もし駄目だったら辞めてもいい?」 ある日勇気を出して母に言った。 さんざんわがままをいって、やってきた娘に今更なんの期待も 持っていない母は「いいわよ」と言った。 ちょっぴり気持ちが楽になった。
2月、雪の降るある日、復学届をもらいに1年ぶりに短大に 出向いた。足が震えた。 どうか私のことを知っている子たちがいませんように! でもいても私だとは思わないかな。 だってあのころの私は40キロしかなかったんだから・・・。 ずっと下を向いて歩いてゆき事務所で書類をもらってすぐに 帰ってきた。
翌週、再び、医師の復学許可書を添えた書類をもって学校へ。 そして復学届を提出した。 帰りに校門の前で華やかなグループとすれ違った。 私が仲良くしていた子たちのグループだった。みんな、細くて きれいでおしゃれでとても楽しそうに「見えた」。
きっとみんな就職先が決まって今が一番楽しい時期なん だろうなー。(当時はバブルの全盛期。どこにでも 就職できる時代だった。これ本当の話!!)
私はマフラーで顔を隠してその場を急いで去った。 涙がぽろぽろ出てくる。なにやってんだろう。なに やってんだろう。 なんで私だけこんなに辛い目に遭わなくてはならないん だろう。なんでこんなに苦しまなければならないんだろう。
今の私だからこそなんだろうけど、1年間休学したくらいで 私の人生、何にも困らなかった。むしろあの1年があった から今の私があると思う。
でも当時の私には本当に勇気の要る決断だった。 だから思う。だから分かる。 「そのとき」にいる人じゃないと、そのときの気持ちは絶対に わからないって。
2003/09/18
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