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断食
2003/07/05
いよいよ断食が始まった。下剤を飲み(これで胃の中を スッキリさせるそうだ)酵素入りの甘酸っぱい ドリンクを1瓶渡された。これと水はいくら飲んでも 良いと言われたが、酵素入りのドリンクはあまり美味しくなく カロリーがありそうだったので私は全く口にしなかった。 「高い金出して痩せに来たんだ!こんなもんいらんわ」 ・・・気合い充分である。
この保養所は鍼灸、整体、足浴、健康マシーンなるものが あり、断食するしないに関わらずこれらを利用することが できた。ただ利用できる時間帯が決まっていたので、それ以外の 時間は特に何をするでもなく、海や山にゆっくりと散歩に 行ってもまだまだ時間が沢山あった。
断食1日目にして気付けたことがあった。 それは私から「食べる」を取ったら「何も残らない」と いう悲しい現実だった。断食中、他の参加者は読書をしたり 散歩に行ったり、編み物をしたり、手紙を書いたり、 瞑想したり、ヨガをしたり、楽器を弾いたり、山登りに行ったり 等々、それはそれは上手に暇な時間を楽しんでいた。 でも私は断食することが、ここに来たただ1つの目的であり、 それ以外には何も求めていなかったのだ。 何もしたいことがない、何もすることがない。 でも暇は嫌。するべきものが欲しい! だったら何でもすればいいじゃん!とも思ったが 何をしても私にとってそれらは暇つぶし以外のなにものでもなく つまらなかった。 と同時に東京での生活は「〜しなければならない」ことが すごく多いことにも気づいた。
そっか。ここには「〜しなければならない」というものが 何もないんだ。 周りにはおばちゃん、おじちゃんしかいない。 きれいなねーちゃんもにーちゃんはどこにも居なかった。 私は重い体を起し、スッピン、ジャージ、サンダルで 海でも山でもどこへでも行くようになった。 暇つぶしではなく「今度はあそこに行こう♪」と楽しみながら。 私にとって伊豆は何も気にせずに何も考えずにいられる場所だった。 ふいにもう東京には帰りたくない。帰らない方がいいと思った。
断食をしてみて「食事がない1日って私にとってはこんなに 暇なんだなー。こんなにすることがないんだなー」と感じた。 ただただ過食を止めたい。過食をしなくなれば全て上手くいく! そう思ってきた、そう願ってきた。でも食べ物から解放されても 「したいことやできること」がなきゃ、1日は長く虚しく 辛くものなんだなーと思った。
私には何にもない。私らしさって何? 私は何がしたいの?何をすればいいの?
私は断食を始めた日から思ったことを全てノートに 書き続けた。 終わりも答えもない自分への問いかけ。 毎日毎日ただただ自分と向き合うばかりだった。 目の前にあるのは山と海だけ。だから自分と向き合うしか なかった。
「断食」という高い料金を払ってわざわざここまで来たという 気持ちと伊豆の心地よい空気に助けらながら隠れ食いをする こともなく、無事3日間の断食を終えることができた。 たったの3日間だったが、されど3日間、でもあった。 この時点で体重は4キロ減っていた。 明日から補食が始まるのはとても嬉しいことだった。でも こんなに苦労して減らした体重だ。補食なんかで元に 戻ってしまうのは絶対に嫌だと思った。 (所長に初日に釘をさされたことはすっかり忘れていた)
2003/07/05
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