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きみちゃんとの出会い
2003/07/01
初めて降りた伊豆高原駅は何にもない田舎の駅だった。 でも空は広く、海は青く、山から流れてくる風は本当に 気持ちが良かった。
今は無きその保養所は駅から徒歩20分ほどのところに建っていた。 私が利用したグループ断食というプランは、3日間の断食と 4日間の補食を経て帰宅するというものだった。 みんなで一斉に行なう為、通常の料金よりもずっとお得だった ようだ。それでも8万円だ。断食するだけなのに何でよ?って思った。
行ってすぐに、所長から断食についての説明があった。 そして断食をする理由を聞かれた。「痩せたくて・・・」
所長に「断食には内臓を休ませ、自然治癒力を高める効果が あります。でも大切なのは断食よりも補食の方です。 少しずつ少しずつおかゆからごはんへと戻してゆきます。 これをちゃんとしないで帰ると、断食で休んでいた内臓が びっくりしてしまい、来たときよりも状態が悪化してしまう 恐れがあります。だから補食をきちんと食べてから帰ることを 約束してください」と言われた。
夜には普通に夕飯が出された。行ったらすぐに断食に入ると 思っていたのでこれには戸惑った。美味しそうだったが半分残した。 食べながら周りを見回した。一緒に断食をする人たちは おばさんとおじさんばかり。若い子は一人もいなかった。 この人たちと一週間一緒に上手くやっていけるのかなぁ。 あー、なんかめちゃくちゃ不安。 帰りたくなってきちゃったよ〜(>0<)
一人寂しくお風呂へ行ったら私と同い年くらいの子が先に湯船に 入っていた。きゃ〜♪♪ 「こんにちは」「こんにちは」「どこから来たんですか」「東京」 「え〜!私も〜」「いくつ?」「18」「え〜!私も〜」
緊張の糸が一気に解けた。私達はいろんな話をした。 そのうち何故断食に来たかという話になった。 互いに互いの目を気にしながら話し始めたその理由は 全く同じことだった。 彼女も過食症に悩んでいたのだ。本当に驚いた。
だってそんは風には見えないよ!すごく明るそうだし、 すごく優しそうだし・・・思ったままを伝えたら彼女も 全く同じ言葉を私に返してくれた。 「でも私は太っているもん」と即座に言い返したけど 彼女も太っていたので思わず笑ってしまった。 そこはお風呂。互いに裸だったし、最初からもう全部 見せちゃいました!って感じだった。
これが私ときみちゃんとの最初の出会い。のちに私達は 互いに励まし合い、摂食障害を克服した。 そんな彼女も今は一児の母。 私が迷った時にいつも冷静な意見をくれる大切な存在だ。
2003/07/01
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