摂食障害カウンセラー長谷川あや主宰 摂食障害のカウンセリングルーム
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悪者さがし
2003/06/10

過食に悩むようになってなってから、私は必至になって摂食障害について書かれてある本を読みました。
それらには必ずと言っていいほど「幼い頃の母子関係に原因がある」と書かれてありました。
病院に行っても同じことを言われました。
原因がよくわからない心の病。わからなければわからないほど
親のせいにされる時代でした。

当然のことながら私も母を恨みました。幼かった頃の寂しかった、
悲しかった記憶を無理矢理掘り起こし、不安な夜は母を寝かさず
責めまくって泣きました。

母を責めたのは私だけではありませんでした。医者も本も家族も
みんなで母を責めました。
医者の言う事は絶対だったからです。誰もそれに反論なんてできないし、しようとも思わなかったのです。

母はどんなに辛かったでしょう。
誰にも言えない自分の辛さを一体どうしていたのでしょう?
数年前、恐る恐る彼女に聞いてみました。
「毎晩布団をかぶって声を押し殺して泣き叫んだ」と言われました。
胸がきゅーっと痛くなりました。と同時に当時の母と同じ想いを
しているお母さんたちが沢山いるに違いないと思いました。

母はとても厳格な人だったので、私は幼い頃から彼女を
とても怖がってはいました。
鬼なんじゃないかと思ったこともあるし
「なんで?」「どうして?」と思うことも耐えませんでした。
でもそんな母を恨んだことはありませんでした。
思うように進めていけない自分の人生を母のせいにしたこと
なんて1度もなかったのです。

でも過食を止めることができなくなって、どんなに自分を
責めてもどうにもならない現実から逃げたくなりました。
きっと摂食障害に陥ったことを自分以外の誰かのせいにしたかった
んだと思います。
そんなときタイムリーに摂食障害の本や医師に
「母親との関係に原因がある」と指摘された。
だから母を恨むようになったんだと思います。
現実が辛くなると=母を恨みました。母に当たりました。

いずれにしても私は摂食障害を克服した後も、それまでと
変わりなく母を恨んでいました。摂食障害は治ったのに
幸せな結婚生活を送っているのに、それでも尚、母に対する
強い依存心が抜けない自分にショックを受けました。

自助グループで、ご両親がいないのに摂食障害に陥った方や
ご両親に何も知らさずに治っていく人たちを見ながら
過去に必ずあるとされる原因を追求することが
「治療」に本当に必要かつ適切な方法なのかどうかを
非常に疑問に思うようになりました。

2003/06/10
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