|
拒食や嘔吐による著しい体重の減少が見られる方の場合は、
「心の病」というよりも「体の病」として考えた方が良いと思います。
入院などで、ある程度体の状態を元に戻せれば、同時に体力や気力も
つき、冷静さを取り戻すことができます。
こうなって初めて「心の病」とちゃんと向き合い、治療していくことが
できます。
拒食症の子は、痩せてさえいれば、食事を自制できてさえいれば、
今の自分を肯定していられると思い込んでいます。
ですからきちんとした食事を摂ることや、体重が増えるようなことを
頑なに拒みます。
故にそうさせたがっているように思えるサポーターを敵対視することも
多いです。
それから、自制できている生活に満足している子ほど、今の自分の状態が
異常だとは思いませんので「私は病気なんかじゃない!」
「放っておいて!」「自分で何とかするから!」と言い張ります。
でも例え本気で何とかしようと思っているとしても、自力で食事の量を
増やしたり、体重を戻すことはなかなかできません。
何故ならばそうすることは、自分を否定することにもつながる行為
だからです。
ですから、本人の自力による回復は望めないと思ったら、早めに入院
させてあげることをお勧めいたします。もちろん本人は拒むでしょう。
でもこれがまさに拒食症の症状なのです。
親としては娘の嫌がることはなるべく避けたいでしょうが、生死を
さまようような状態なのに入院を拒む事自体、入院した方がいい
状態であることを知ってほしいと思います。
結果的には無理矢理入院させることになるとしても、彼女が何故
入院を拒むのか、その理由をゆっくりじっくりと聞いてあげてほしいと
思います。
そして、お嬢さんの不安や焦る気持ちを医師にもよく理解して頂き
その上での入院治療になればと思います。
|
|