あっちの私とこっちの私とそっちの私
昨夜のNHK紅白で、ヒット曲「はいよろこんで」をいつも通りの笑顔で歌い終えた「こっちのけんと」さんが、今日Xを更新し、活動をセーブすることを発表しました。
躁うつ病(双極性障害)であることを公言して活動している彼からのメッセージは、同じ思いを持つ人たちの大きな力になったはず。私もそのひとりです。その文章をここでも紹介させてください。
同じ思いを持つ人、同じ病を持つ人、可能な限り背負わせていただき、人生をかけて1年間歌わせていただきました。本当にありがとうございました。
若干躁期でした。今後は跳ね返りと戦うために当分休みます。
どれだけ人生が変わっても『死にたいな』と考えてしまうので、やっぱり病気なんだなと思います。
僕が頑張れた理由を考えると僕を支えてくださった皆様のおかげだったなと確信しております。
本当にありがとうございました。
僕にしてくださったように世界中で悩んでいる人たちに、その優しさを向けていただければ幸いです。
悩みは解決するのが1番ですが、持ち続ける事で人生を彩ることも出来ます。
それが証明できた事だけでも僕の人生は最高です。
お力添えいただきありがとうございました。
また頑張れそうな時が来るまで鬱期を楽しんでまいります。
死なないように生きておきます。いってきます!
けんとさんは、会社員だった2020年にうつ病と診断されましたが、治療を続けていく中で、実は躁うつ病であることが分かったそうです。
躁うつ病は、気分が高揚する「躁状態」と気分が落ち込む「うつ状態」が交互に繰り返される、うつ病とは似て非なる精神疾患です。
大学卒業後に、スーツを着て働く自分は「あっちのけんと」で、家でTシャツ1枚でくつろいで歌う自分は「こっちのけんと」と、自分の呼び方を分けているけんとさん。
今年、一躍時の人となったのは「こっちのけんと」さん。
でも、注目されればされるほど、社会から求められる「あっちのけんと」さんが前へ前へと引っ張り出されて、ケントさんの心はどんどんしんどくなっていきます。「はいよろこんで」と笑顔を振るまいながら、気を張り続け、焦燥感に駆られ続け、体も心も全く休まない。
けんとさんはこのまま走り続けたら自分がどうなってしまうのかを嫌というほどよく分かっていました。だから、そうなる前に仕事をセーブすることを決めた。
分かってはいても、ものすごく怖くて勇気の要ることだと思います。
長く続くであろう辛い鬱期を「楽しんでまいります」と書いたのは、他者への気遣いと責任感の強い「あっちのけんと」さんですね。
カウンセリングをしながら、ふつうに見えても、幸せそうに見えても、「死にたいな…」という思いを抱えながら生きている人がたくさんいることを知りました。
でも、一度たりとも「死にたい」と思ったことがない人たちもたくさんいるんですよね!夫も長男もそうです。私からすると、そっちの方がびっくりです!
社会的評価に依存しすぎない
私も、「あっちのあや」がしんどくなってくると、死にたいな…と考え始めます。「死ね死ね」「死ねばいいのに」という言葉が頭の中をぐるぐると回り続けます。
でも、「こっちのあや」を大事にできるようになってからは、「死にたいな…」と思うことはあっても、ただ思うだけ(思い癖)になりました。
悩みは、解決するために起きているのではない
日本の神様方は、悩みが生じるとみんなで集まって、感情の奥にある自分の本当の気持ちを伝え合うんだそうです
素直な気持ちを丁寧に受け取り合うことを繰り返していくと、そこに安心感や連帯感が生まれて、相手を慈しみ思いやる気持ちが高まり、悩みが悩みでなくなるからです。
おそらく、けんとさんも、主治医を始め、ご家族や仕事の関係者の方たちとの伝え合いを繰り返して、もちろん最後はご自身で、仕事をセーブすることを決断されたのだと思います。
この英断や自己開示も、治療の一環なんですよね。
自分の思うようにやっていい
私は、あや相談室の全盛期(NHKや新聞の取材を受け、毎日200通以上の相談メールが届いていた時期)に、HPに正直な気持ちを掲載して休業したことがあります。
当時は「あっちのあや」しか認めたくない私でしたが、少しずつ「こっちのあや」を認め、両者のバランスがとれるようになっていきました。
長い年月をかけて、私は、「自分の思うようにやること」を、やっと許せたのだと思います。
モヤモヤが止まらない時は、自分の本当の気持ち(そっちのあや)を信頼できる人と伝え合うことも大切にしています←これ、すごく大切なことだと思います。
伝え合える人なんていないし…という方は、ぜひカウンセリングをご利用ください
長くなりましたが、今年も、皆さまといろんなことを伝え愛たいです
どうぞよろしくお願いします
p.s.先代のわんこの名前ははな先月末に飼い始めたわんこの名前はまる
2つの名前を合わせたら、はなまるになることに気が付きました
愛犬たちからも、「生きているだけで100点満点」って言われてる気がしました
2025年元旦