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6月のひとこと

今年も残り半年となりました(笑)。6月は雨が多くて気分も沈みがちですね。「雨過天晴」という諺がありますが、雨が止んで空が晴れて明るくなるように、「悪かった状況や状態が良いほうに向かうこと」を信じて、必ず来る夏を楽しみにしながら過ごせるといいなと思います♪

●どうせ私なんか
 どうせ私なんか・・・・と思う時は甘えられずに拗ねている時が多いです。甘えるのが下手な人は甘えようとしてもそのやり方が分かりません。でも甘えたい。すると、ついつい相手の気分を逆撫でするような態度をとってしまいます。そんなつもりじゃなかったのに。あ~、も~。なんでこうなるの?
 本当は、「ありがとう」「助かったよ」ってひとこと言って欲しかっただけなのに。だったら素直にそう言えばいいのに言えません。思っていることを素直に言えないのです。だって今までにそういう機会がなかったから。だからその言葉が口から出てこないのです。出てくるのは皮肉れた言葉やいじけた言葉ばかりです。
 「どうせ私なんか」「私なんて要らない」と思った時は(そう思ってしまうのは)「私は相手に自分の存在価値を認めて欲しいからなんだな」「自分のしているコトを誉めてほしい・労ってほしい・感謝してほしいんだな」・・・つまり、そういうことなんだな~と気づいてほしいです。それに気づけたら、それだけで気持ちが落ち着く場合もあると思います。
 相手の人にしてみたら、あなたから拗ねられ、睨まれ、嫌みを言われ、切れられ、無視され・・・という態度をとられるよりも、「ありがと~って言ってよぉ」「助かったって言ってよぉ」って言われた方がどれほどかわいらしくてわかりやすくて良いか。
 でも言えない。これが言える甘え上手な人が羨ましい。その生い立ちや性質も羨ましい。だけどここまで気づけたなら言いたい。言ってみたい。照れながらも、拗ねながらも、うつむきながらも、泣きながらでもね。
言えたらいいね♪次こそは^^

●盗む心理
 カウンセリングを始めて13年。お会いしたクライアントの方の中には、家のお金をちょこちょこ盗んだり、万引きしたり、他人のものを盗ったりした経験のある方、或いは今現在もそうしてしまう方が少なくないことに気づきました。これらがばれて怒られてもうやらなくなった・・・というケースは別として、万引きで何度も捕まり逮捕され、裁判にかけられ執行猶予中なのにも関わらず、また万引きしてしまう程になるとこれは「病」として捉えるべきでしょう。
 飲酒運転で捕まり、免停中にまた飲酒運転をして捕まり・・・という人の多くがアルコール依存症で精神科の通院歴があるという話を聞いたことがあります。同じように、万引きで何度も捕まっている人も通院歴がある方が多く、これらの行動は、単なる酒好き、単なる物欲しさだけでは説明や納得ができません。当然、厳重な注意やお仕置きをしてもそのお陰で治ることもありません。それで辞められるなら病ではありません。どちらも「心の病」してとらえ、そことしっかりと向き合っていく必要があります。
 盗むことに罪悪感のない方もいますが、多くの方が盗むことは悪いことであることはよく分かっています。なのにやってしまう。「お金に困っていたから」「過食するものはどうせ吐いてしまうから」などと言い訳し、自分なりに納得のいく理由を作って盗んでいる人もいますが、果たしてそれが本当の理由なのでしょうか?
 「こんなの欲しくないのに盗んでしまった」「なんでやめられないのか分からない」という方はとても多いです。「盗むことは悪いこと、見つかったら大事になる!」と頭では分かっていても、ばれずに成功した瞬間の達成感・快楽・スリルを体が覚えているため、なかなか辞められないのです。そういう意味で盗癖は他の依存症の衝動とよく似ています。依存症のそれらは、日常の生活の中では得られない充実感・達成感・満足感を、一瞬で確実に得られる現実逃避の1つの術なのです。
 自分からも誰からも決して誉められることのないこの歪んだ達成感は、こうせざるを得ない心理があるのです。こういう行為をしてしまう人は自尊心が低く、自己否定感が強く、「どうせ私は」「私なんか」と思っています。背景にはそう思わざるを得なかった生い立ちや今現在の生活があります。
 この場合、盗みや万引きがどんなに悪いことだと説得しても怒っても、またその場では深く反省し後悔し、本気で「もう2度とやらないぞ!」と思っても、その時が来たら、またやってしまいます。
 盗癖に悩んでいる方も摂食障害に悩んでいる方も他の依存症の方も、治っていく過程や段階が似ていることは、それらの克服者の話を聞くとよくわかります。いろんな克服の仕方がありますが、今の自分を肯定できるようになればどちらもしたくなくなってゆき、しなくなります。それをする必要がなくなるからです。忍耐強くもなります。
 そのためには「こんな私でもまぁ、いっか」と思える場所・人・グッズ、ひとときを増やしていく意識が大切です。逆に、こうは思えない場所・人・環境にいる中で、無理して「ま、いっか!」と思ってもストレスが溜まるだけで、かえって辛くなるはずです。
 よくよく考えてみたら、「そんなに自分を否定するような環境・生活じゃないかも!」と気づき、長年の責め癖を変えるべくして誉め癖の訓練をしていくことで、依存症を克服できる方もたくさんいますが、今の自分を否定するようなことが続いたり、そういうことがいくつか重なったりしてホッとできることが減ってしまうと再び始まってしまうケースも多いです。
 いずれにしても、依存症の克服の仕方は人それぞれ異なります。あや相談室では、その方の今に合った無理のないアドバイス・サポートをさせて頂いております。より適切で具体的なサポートをするためにも、「こんなことしているのは私だけかも・・・」と思って、言うのを躊躇ってしまうようなことでもどうぞ勇気を出して話していただきたいです。「自分だけじゃなかったんだ」「自分と似た言動や症状がある人はたくさんいるんだ」「こうすれば変えていくことができるんだ」などと思えてきっと安心できると思います。
 話すことは気づくこと。気づくことは変わること。まずは気づくことから。変わろう!と焦らなくても、その時は必ず来るし、来れば自ずとそうしたくなります。その時々に合うサポートが私にできれば幸いです。今月も皆さまと色んなお話ができることを愉しみにしております。

2013年6月1日
摂食障害専門カウンセリング あや相談室主宰
摂食障害カウンセラー 長谷川あや

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