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6月のひとこと

●自分に正直にいる勇気と不安

 夢がある人は、摂食障害も早く治ります。現実離れしていたっていいんです。夢はあくまでも夢だから♪その夢に夢見ていれば、必ず脳も未来もそちらに向いて歩いて行きます。

 はるな愛さん(38)は、物心ついたころ、自分が男の体に閉じ込められた女の子であることに気づきましたが、違和感と困惑に悩みながら「親を安心させて生きる方が幸せなのでは?」と思っていたそうです。
 でも、いつか親は死ぬ。そのとき、自分は男として結婚し家族もいるだろう。だけどそれは、自分に嘘をついて生きている自分と、嘘の愛で結ばれた奥さんや子どもたちだ・・・と考えたら「そんな人生は絶対に嫌だ!」と思ったそうです。
そのとき、彼女は昔からの夢「アイドルになりたい」を叶えようと決心しました。高校を辞め、家を出て、ショーパブで勤めるようになった彼女は、ご両親には、親不孝な息子にしか見えなかったでしょう。彼女はそんな自分を責めて苦しみながらも、その後も夢に近づいていく実感も自信もない生活をし続けます。
とうとう貯金がなくなり、食べていくためには何でもするしかなくなったとき、彼女は、あんなにイヤでしょうがなかった男の部分を開き直って出すことでブレークするきっかけを掴みました。
 愛さんは、当時のことを【自分のコンプレックスと本気で向き合った時、道が開けた】と言っています。実は私もそうでした。全ては今思えばですが。
私もどん底に足が着いたのが分かった時(これ以上落ちることはないな・・・と確信した時)絶望の中でなぜかとても冷静に「今のこの自分で生きていくしかないんだなぁ」と思いました。肩の荷が全部落ちた感じがしました。
そこからは自分でも驚くほど過食する自分や太った自分を受け入れた生活ができるようになり、どんどん道(考え方や視野)が開けていきました。
意図的にしたことではなかったので、どんどん変わっていく自分の外見や内面に「なんか不思議~!!」と思っていましたが、当時の愛さんもそんな気持ちだったようです。
そのときの気持ちを、彼女は「ずっと否定し続けてきた賢示(本名)が、はるな愛を使って夢の実現に向かって進んでいく感じだった」を表現しています。
 
 「周囲に認められた安全な場所から出ていくのは誰だって怖い。勇気をふるって自分を出しても、それだけでバッシングを受ける。なじられるし、笑われる。
でも、自分で納得して時間を使っていけること、これ以上の幸福はありません」と話す彼女の横顔は、凛とした本当にステキな笑顔でした。

*先月の朝日新聞に掲載されていた記事を引用しました。

 「自分に嘘をついている」と、楽だとしてもちっとも楽しくありません。
心から幸せとは思えないからです。いつだって最後に残るのは自己否定感と空虚感です。
自分に正直にいることは、自分の言動に責任を持つことだから、リスクもあるし大変です。傷つくことも多いかもしれません。でも自分のしたいことをして得られた充実感と達成感は、もれなく自己肯定感(こんな自分でもいいんだ♪)ももらえます。これが増えれば、摂食障害も克服できます。
 但し、ずっと他人に合わせて、他人に好かれるためだけに頑張ってきた人ほど、自分に嘘をついている感覚がなかったり、自分の正直にいることの意味がよく分からなかったりします。それに気づくのが、それを感じるのが怖い!という方もいます。それも正直な気持ちですよね。まずはそんな素直な感情からゆっくり解きほぐしていきましょう。そのためのサポートが私にできれば幸いです。
今月も、皆さまといろんなお話ができるのを愉しみにしております。

2011年6月1日 
摂食障害専門カウンセリング あや相談室主宰
摂食障害カウンセラー 長谷川あや

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